本項では壁紙の種類と「一般クロス」「量産クロス」とはどういう壁紙のことを指しているのかについて説明します。一般的に「壁紙」という場合は「塩化ビニル樹脂系壁紙」を指しますが、それ以外の壁紙の種類についても知っておくことで、壁紙を選ぶ際の役に立つでしょう。
壁紙の種類
壁紙はその材質(何によってできているか)によっていくつかの種類に分類されます。その中で最も一般的な壁紙は「塩化ビニル樹脂系壁紙」で、国内のほとんど全ての住宅で使われています。
塩化ビニル樹脂系壁紙
塩化ビニル樹脂系壁紙は国内で最も普及している壁紙です。ビニールは加工がしやすいため、壁紙の色や柄といったデザインが豊富に用意されています。機能面でも、防カビや防水だけでなく消臭機能や抗菌機能など様々な機能性を備えた壁紙もあります。コストパフォーマンスに優れ、DIYでも簡単に貼れるほど扱いやすいので、壁紙を選ぶ場合には「塩化ビニル樹脂系壁紙」が最初の候補になります。
紙系壁紙
紙系壁紙は紙を主原料とした壁紙で、欧米を中心に海外では定番の壁紙です。海外ならではのデザインが施された壁紙は、輸入壁紙として日本でも人気があります。日本で馴染み深い和紙も紙系壁紙に分類され、和の柔らかい雰囲気を演出したい和室などでは好んで使用されています。紙系壁紙はビニール壁紙よりも施工が難しいので、プロが施工する場合でもその扱いに慣れていないと仕上がりに差が出ることがあります。
繊維系壁紙(織物壁紙、布クロス)
繊維系壁紙は、自然素材や化学繊維で作られており高級感と重厚感があるのが特徴の壁紙です。ホテルや博物館といった雰囲気のある施設向けで、施工にも技術と経験が必要です。
プラスチック系壁紙(オレフィン壁紙)
オレフィンとはプラスチックの仲間で、ポリエチレンやポリプロピレンなどを主原料とした壁紙です。塩化ビニルに近い質感ですが、環境に配慮した素材であるため安全で衛生的な壁紙です。
無機質系壁紙
無機質系壁紙は、土や石などの自然素材やリサイクル素材を主原料とした壁紙です。代表的なのは珪藻土や漆喰を施してある壁紙で、塗装したような質感を安価に再現することができます。珪藻土壁紙のザラザラとした質感や繊細な表情は印刷では再現することが難しく、塗装できない箇所では重宝されています。
量産クロスと一般クロス(1000番クロス)
国内主要壁紙メーカーが販売している塩化ビニル樹脂系壁紙は、「量産クロス」「一般クロス」という2つの呼称で区別されています。
量産クロス
量産クロスとは、主に賃貸物件での原状回復やリフォームで使われる普及品の壁紙です。壁紙の中でも安価で厚みがあるものが多く、施工がしやすいのが特長です。コストパフォーマンスに優れていることが量産クロスの最大の魅力であるため、デザイン性や機能性は最小限に留められており、場所を選ばないベーシックな壁紙だということができます。各主要メーカーでは約100点ほどの種類(品番)が用意されていますが、その独自性は少なく、賃貸住宅のように「どの部屋も同じデザインで壁紙が大量に必要」な場合に活躍することが多い壁紙です。
各メーカーの量産クロスのカタログ一覧
- サンゲツ
- リリカラ
- ルノン
- シンコール
- トキワ
一般クロス
一般クロスとは、デザイン性や機能性に優れたオリジナリティの高い壁紙です。定価が1000円であることから「1000番クロス」と呼ばれることもあります。量産クロスとは異なり、各メーカーの独自性あふれる商品展開がされており、1冊500 - 1000点ほどの種類(品番)を掲載したカタログが複数用意されています。施工面を比較すると、一般クロスは量産クロスと比べて厚みが薄いものが多いので、やや施工が難しくなる場合があります。
各メーカーの代表的な一般クロスのカタログ一覧
- サンゲツ
- リリカラ
- ルノン
- シンコール
- トキワ
ベーシックな量産クロス、オリジナリティの一般クロス
本項では、材質による壁紙の分類と量産クロスと一般クロスの違いについて説明してきました。それぞれの壁紙の特徴を意識しながらカタログで壁紙を探してみると、これまでとは違った新しい発見があるかもしれません。DIYで壁紙の張り替えに挑戦する場合は、慣れない最初のうちは量産クロスを使って、慣れてきたら一般クロスの張り替えという順番がおすすめです。壁紙の色や柄を選ぶときにも、施工のしやすさを考えておくとよりより選択ができるようになるでしょう。
壁紙のDIY講座 INDEX
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1.事前に知っておきたい基礎知識
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2.壁紙を張り替えてみよう
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3.壁紙DIYの注意点
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4.壁紙DIYのポイント
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5.壁紙の処分・補修・お手入れ方法